ユートピア文学賞

2015年佳作作品 小河白道 評論「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」

あらすじ

レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」。通説では、『聖書』の「最後の晩餐」を描いていると言われているが、『聖書』の記述と辻褄の合わない部分があり、多くの謎を秘めている。レオナルド・ダ・ヴィンチが宇宙人と交流していたという仮定に基づき、「最後の晩餐」に込められたメッセージから、キリスト教と宇宙人の関係を読み解く、新しい視点を提示する芸術評論。

 

見どころ

「レオナルド・ダ・ヴィンチは宇宙人を知っていた」という大胆な仮説と、「最後の晩餐」についての新たな考察が、知的刺激を与えてくれる作品。画像資料も豊富で、興味をかき立てられる。

 

試し読み

ヘルメス思想が、「ヨーロッパの伝統の底流」として、大きな影響を与えていたことが指摘されている。このヘルメス思想の研究者にジョルダノ・ブルーノがいる。(図17)

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」図17

彼は、イタリア出身の哲学者で、ドミニコ会の修道士でもあった。しかし、ヘルメス思想に基づく哲学を発表し、キリスト教・カトリックから異端者とされ火刑に処せられてしまう。彼は自著において、他の惑星にも知的生命体・宇宙人が存在していて、私たちと同じか、あるいはより優れた存在がいるはずだと述べている。(注20)
だが、こうした「宇宙人」の存在を、キリスト教は基本的に認めない。なぜならば、『聖書』のなかには、他の惑星の人類についての記述がないからだ。それは、ユダヤ教も同様であるし、イスラームの聖典『コーラン』も同じである。
そもそも、唯一の神を信じているはずなのに、他の惑星にも生命が存在し、人類が暮らしているとするならば、星ごとに創造主や救世主が存在することになり、『聖書』や『コーラン』の前提が崩れてしまう。
そのため、現代でも宇宙人に関しては、キリスト教徒は敏感な反応をする場合がある。例えば、NASAが火星の表面を撮影した写真を発表した際、そこに生命の痕跡と思われる物体が写っていたのだが、アメリカのキリスト教関係者は、その写真を公表しないように圧力をかけてきたという。
もし、宇宙人の存在が明白となった場合、キリスト教やイスラームの教義体系が崩壊し、教団としてもその屋台骨が揺らぐようなことになると大変な混乱を及ぼすことにもなりかねない。この二つの宗教だけで、信者は20億を超えるだろう。彼らの世界観・信仰観が根底から崩れていくとしたら、社会に与える影響は大きく、また深刻である。心の拠り所や社会の規範が根底から揺らぎ、かなりの混乱が予想される。この問題を解決するには、やはり、宇宙人の存在を視野に入れた宗教的真理と新たな信仰の確立が求められるのではないか。
さて、ユダヤ教・キリスト教・イスラームが宇宙人を認めない教義を持っていることを指摘した。ただ、その教義内容に反して、『聖書』の記述には、宇宙人やUFOの存在を連想させるものが散見される。
例えば、イエスが誕生した夜、夜空を飛行していた眩しい光の存在がある。それは「星」だとされ、救世主の生誕を探る占星術の学者(マギ)を、イエスが生まれた馬小屋に導いたとされている。(図18)(注21)

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」図18

「移動する星」の存在は、現代人にとってはUFOを連想させるものがある。
さらに、キリスト教絵画のなかには、UFOが描かれていると思われるものが数多く存在する。特に、レオナルドが活躍した時代や、その前後の絵画に多く見つけることができる。
それらの一部をここに紹介していきたい。(図19~22)

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」図19
 「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」図20
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」図21
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 宇宙のコーラス<最後の晩餐>に隠された宇宙時代の智慧」図22

以上がキリスト教絵画のなかのUFOらしき描写の数々である。他にもUFOを描いたと思われる絵画が多数存在している。また、こうした描写は、ルネッサンスの時代と同じ14~16世紀の絵画に多く見られる。
このような時代背景のなか、レオナルド・ダ・ヴィンチも、UFOを描いていると見ることができる絵画が存在する。それは〈最後の晩餐〉の壁画である。そこにはヘルメス思想と、そして宇宙人とキリスト教の関わりが描かれている可能性が高いと筆者は考えている。
 
(つづきは入賞作品集でお楽しみください)