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誰にも負けない分野をつくる 《「思いが伝わる文章技術」Vol.2》
強みをつくる
今回は、「無名な人間が逆転するには、特定部分のエキスパートになること」という話をします。
世間一般では、ビジネス書、自己啓発書、小説にかぎらず、本を出す人はたいてい有名大学出身者です。学歴が優秀であることは祝福すべきですし、大いに活用すべきですが、そうではない人は、いったいどうすればよいのでしょうか。
一つには、大川隆法総裁が、「エリートコースに乗り損ねた人たちが逆転するには、本をたくさん読むことである」
とおっしゃっている通り、知識のストックで戦う必要があります。
もう一つは、あるものに対象を絞って、「この分野だけは自信がある」と言える部分をつくることです。
例えば、ネクタイ一つをとっても、普通の奥様が、「主人のネクタイ選びについては、住んでいる社宅の誰にもひけをとらない」と言ったら、それはその人の長所・得意技になります。
現在は、『男はなぜネクタイを結ぶのか』(新潮新書)、『間違いだらけのネクタイ選び』(ぶんか社)など、ネクタイ関連の本が出ていますが、ネクタイに詳しくなれば、ほかにもいろいろな本を書くことが考えられるでしょう。
このように、何か一つに焦点を合わせて、ドリルのように知識を掘り進めていくと、道が拓けていくのです。
まずは、一本角を生やすように、自分の武器になるものを一つつくることです。それによって、成功に向けて走っていけるのです。トータルで社長になることは難しくても、自分がやっている業務でエキスパートになることはできます。実績を積んでいくと、それについてのビジネス書が書けるようになる場合もあります。
多くの人に読んでもらえる文章とは?
「より多くの人に読まれるための文章技術」について話します。
先述した「ヘルメスの成功方程式」のなかには、「本当の成功は愛に始まる」という言葉があります。文章も、より多くの人に読まれるためには、「分かりやすさ」という「愛」がなければいけません。
分かりやすい文章を書くには、耳で聞いても理解できる言葉を使うといいでしょう。文章を書いたら、実際に音読してみて、言葉のリズムの悪いところを直していくのです。身近な人に音読してもらうのもよいと思います。
また、一般的には、文章は一文が短く、漢字が少ないほうがよいです。平仮名が続きすぎて読みにくい時に漢字を入れるくらいにすると、多くの人に受け入れられやすいベストセラー向きの文章になります。
ただ、「りんご」のように、平仮名でもカタカナでも漢字でも書けるものは、文脈の流れや、その時々の感じから判断して書く必要があります。
さらに、文末に変化をつけるということも大切です。文末が同じだと単調になりやすいので、これを直すだけでも、文章が上手になります。
加賀義(かが・ただし)
1968年生まれ。長崎大学教育学部卒。現在、長崎県内の高校で国語教師を務めている。エッセイ「景山民夫の預言~作家たちが透視した日本の未来~」が「幸福の科学ユートピア文学賞2007」で入選。以来、執筆活動にも積極的に取り組んでいる。著書に、『効果的に伝える文章技術』(はまの出版)、現代語訳に福沢諭吉著『学問のすすめ』、平田篤胤著『江戸の霊界探訪録』、幸田露伴著『二宮尊徳に学ぶ成功哲学』(幸福の科学出版)がある。
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