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『遠藤周作の霊界談義』から広がるアレコレ話《第1回 遠藤周作の原作映画化と処女小説の発見》
映画「沈黙」を見ようか、見まいか
現在公開中のアメリカ映画「沈黙―サイレンスー」(2017年1月21日公開)は、原作が遠藤周作ということで、注目していました。
キリシタン迫害に関するシリアスな内容を、マーティン・スコセッシ監督がどう演出するか気になっていたのですが、早くも公開直後に、大川隆法総裁がマーティン・スコセッシ氏の守護霊霊言を収録(1月25日)、2月1日には早々と『映画「沈黙-サイレンスー」にみる「信仰と踏み絵」』として書籍化されました。
本霊言で、スコセッシ監督の深層意識が考えていること、つまり「本音」が明らかにされています。まずこの霊言を読み、それから映画に行くかどうかを決めても遅くはありません。
なお、映画を観た人たちの感想をネット上で見ますと、重く受け止めるという肯定派(なかには、「日本人はやはり残虐な民族だ」的な自虐的な意見も)が多いなか、残酷なヴァイオレンス映画だという意見も目立ちます。
10代で『沈黙』を文学談義した大川総裁
原作『沈黙』の内容そのものについては、大川咲也加著『大川咲也加の文学のすすめ~日本文学編~』(幸福の科学出版)が大変参考になります。『沈黙』の内容がとても簡潔にコンパクトにまとめられています。
また、スコセッシ監督の守護霊霊言の解説部分でも、大川総裁が原作について取り上げています。『遠藤周作の霊界談義』の解説でも触れていることですが、大川総裁は10歳の頃に『沈黙』を読み、その内容について父や伯母と文学談義をしたというエピソードが語られていて、非常に印象的です。キリシタンの殉教と背信に関わる極めてシリアスなテーマを、10歳の少年が大人たちとディベートしたとは、おそるべきことです。
さて、『遠藤周作の霊界談義』で遠藤霊は「沈黙」どころか「饒舌」です。質問者を煙に巻くような発言の連続で、翻弄されます。これは、『沈黙』などのテイストとちがい、「狐狸庵閑話」で知られる、ユーモラスな、人を食ったような個性そのものです。死後20年を経過して、今なおあの個性で生きている遠藤霊。生前の遠藤をテレビなどで見聞していた人にとっては、ほっとさせられるでしょう。こうした遠藤の個性について、大川総裁は、「照れ隠しであろう」と指摘しています。
若き日の遠藤周作の憧れを題材にした処女小説が見つかる
さて、『遠藤周作の霊界談義』が出た4カ月後の2016年6月、こんなニュースがありました。「遠藤周作‟幻の処女小説“発掘 31歳、別名義で短編」(2016年6月3日付産経ニュース)。
これは、「オール読物」(1954年8月号)に伊達龍一郎名義で書かれた「アフリカの体臭―魔窟にいたコリンヌ・リュシエール」が遠藤周作の処女小説として確認された、というニュースです。原稿用紙20枚程度の短編で、遠藤が作家デビュー前に発表していたものということです。
内容は、「戦後若くして病死したはずのフランスの女優コリンヌ・リュシエールが、アフリカのジブチで売春をしながら生きている」という話を聞いた男たちが、彼女を探し求めに行くというもの。
ニュース記事には書かれていませんが、コリンヌ・リュシエールは往年の洋画ファンの心を虜にした伝説の女優です。彼女は「格子なき牢獄」(1939年フランス映画)一作で有名になり、この作品に全てが尽きるといってよく、コリンヌに恋い焦がれた日本青年は数多くいました。そして何を隠そう、その一人が遠藤周作なのです。遠藤はテレビ番組でも熱烈ファンであることを公言し、「われわれの青春時代の象徴である」と言っていました。
ちなみに、コリンヌの父親は親独派の政治家でした。そのため、フランスがナチスドイツの占領下にあった時、彼女は社交界の花形でしたが、パリ解放のあとは対独協力者として追われる身となり、逮捕、投獄、釈放、そして結核で死去という不遇な最期を遂げます。
戦後になっても、遠藤の心からコリンヌはずっと離れ難い存在になっていたのでしょう。これを小説の題材にとったものが処女作となったわけです。なお、遠藤は1950年から53年までフランス留学をしています。

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『遠藤周作の霊界談義』
新・狐狸庵閑話大川隆法 著
○ 遠藤周作の死んだあとの体験
○ 劣等感にどう対処すればよいか
○ はたしてイエス・キリストに会えたのか
○ ユーモアは神の武器の一つ
○ 信仰の奇跡について思うこと
○ 遠藤周作の過去世を探る
○ 狐狸庵流・人生アドバイス ほか購入する