「小説を書くときのポイント」vol.3
前回お伝えしたように、
今回は『雨宮経理課長の憂鬱』のチェックポイントをお伝えします。
この作品のポイントは何と言っても、
〔キャラ設定がうまい〕ことです!!
雨宮経理課長というキャラクターがものすごく立っています。
「あ~いるいる!こんなおじさん!すごい腹立つんだよね~」
と、動き方や話し方まで想像できてしまう。
でも、最後には、なぜか憎めず、かわいく思えてしまう。
この、読者がありありとキャラクターを思い浮かべられる感じがとても大事です。
この作品の著者の麦生郁さんは、
セリフや動きの描写で非常にうまく表現しています。
ただ、一つ残念なのは、雨宮経理課長の外見を描くときに
ある俳優にたとえてしまったことです。
人物を描写するときに、固有名詞を使ってしまうと、
確かに読者はすぐにイメージがわくのですが、
それは「文章で表現する」ということを放棄していることになり、
読者もそのイメージに縛られてしまいます。
ですので、キャラクターの描写は、固有名詞に頼らず、
自分の言葉で伝えることが大事です。
キャラ設定には十分力をかけてみてくださいね。
![]()
『雨宮経理課長の憂鬱』
「幸福の科学ユートピア文学賞2010 特別賞」受賞作品麦生 郁 著
■「雨宮経理課長の憂鬱」
ありえないほど仕事がデキない変人オヤジ、雨宮経理課長。彼に振り回される32歳独身の比佐子は、なぜ雨宮が会長に気に入られているのかが腑に落ちない。
ある日、左遷が決まった雨宮のパソコンに、おかしな動きの業績グラフが……。
■「カメリアハウスでつかまえて」
謎の老女3人の住む「カメリアハウス」に訪れた介護福祉士の千里。3老女の話はかみあわず、「カメリアハウス」の謎は深まるばかり。ひょっとして「カメリアハウス」にはお化けがいる?購入する